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2017年 11月 27日
私のことをよく知っていながら、客観視することができるのは、きっと長い付き合いだから。 この三姉妹とは昔からこの場所でよく遊んでいた。 物心つく頃からだから、十何年もの付き合いだ。 「今日は勝負の日だから」 お気に入りの下着を選び、さらに前もって考えていた服を選ぶも、自信が持てない。そんな私に、三姉妹はあれこれ小言を飛ばしてくる。 髪の毛のハネ、化粧のノリとキリがない。そんなことを言ったら一生支度をしているはめになる。 挙げ句の果てにはコーディネートの選び直しすら提案してくるのだった。 「そんな時間ないわ」 「それならもっと早く起きればよかったのよ」 「どうして起きられなかったのかしら」 「それは、寝付けなくて」 「遠足前の子供みたい」 寝不足から目の充血を心配していたが、思ったよりも目立たない。よっぽど近くで見ない限りわからないだろうと気にかけるのをやめた。 それよりも後ろに見える時計の針の方が心配になる。 焦っている私とは対照的に、三姉妹は揃いも揃ってあくびをしている。 「これでいいでしょ」 右に左に体を傾けては問題がないことを確認してもらう。 「きっと大丈夫よ」 「少し幼くない」 「派手じゃない」 納得しない意見もあったけれど、時間になってしまえば、これが1番だと思うしかない。 私が出掛けると三姉妹も背中を向けてどこかへ行ってしまうのだった。 --- 「まさか、心配になってきたの」 駅のホームで反対方向に行く電車の窓をなんとなく眺めていると、三姉妹の長女が居ることに気がついた。 「やっぱり心配だったから」 待ち合わせの駅に降りると、長女はお手洗いに行くことを提案するのだった。 「最終チェックよ」 今さら変えられることはほとんどないと思いつつも、長女の言った通りに鏡の前に立って、化粧が大丈夫か確認してしまう私がいる。 「あの子達も心配して見に来ているでしょうね」 私のことを気に掛けていたのは何も長女だけじゃなかった。 道行く先々で私の姿が映る場所があるとついつい横目に確認をしてしまう。 そこにはやっぱり姉妹がいた。 しかし、彼女たちに自信がないのだと思われたくないので、私は彼女たちを横目に見るだけで立ち止まったりはしなかった。 --- 彼は時間通り待っていた。もしかすると、少し早く来ていたのかもしれない。本当なら私もと思っていたが、その余裕はコレだけ悩んでいればさすがになかった。 二人で歩いているときにも姉妹の姿がちらりと見える。意識しなければいいものを、どうしても見つけてしまう。 「どうしたのぼーっとして」 ショーウィンドーの向こう側にも姉妹の姿が見えてしまった。しかし、今度はその横に彼のドッペルゲンガーが長女と並んで立っていた。 すると、ドッペルゲンガーは長女の顔を覗き込んだ。 私も彼に向き合うと彼の顔はとても近かった。彼の目がうっすら充血しているのが見えた。 きっと、この距離じゃ見えてしまう。 「君も寝れなかったの」 慌てて目を隠そうとしたが、彼の目の中に私が見えたのでやめた。 その姿は姉妹にそっくりだったが、それは紛れもなく私だった。 fin ----------- 完結作品。「タイトル」ジャンル 小説・リメイク作品「僕が見たあの夢の続きを」フィクション 過去作「半分の夢」を書き直した作品。 小説「盲目モグラの恋」 小説「風雷に愛された魔女」 小説「酒池肉林と菓子の家」 小説「家畜捜査」推敲一回目 超短編小説「店番のあの子」 恋愛 店先で店番をするあの子。恥ずかしさで遠目にしか見れない少年は彼女のことをよく知らない。 超短編「虹を追いかけて迷子になった子供」改訂版 動物 飼う時から、家族として受け入れる時からわかっている短い命の家族。それでも、その出会いは何物にも代えられない。 超短編小説「傘女と小雨坊」人情 梅雨の時期、傘女になった母親に捨てられた子供は、その仕草から小雨坊と呼ばれていた。 ------------ 声劇団SHI'STUDIOの皆様にご協力いただき、 ボイスドラマを作りました。是非聞いてください。(dropboxからDL推奨。今後は動画サイトへの投稿を予定) 「山芋ウナギ」 私がとってもハマっている「ハンバーガーショップb1」の記事 小説以外に、 ペンギンを始めとした動物、草花などの自然について写真を撮ったりしながら記事を書いてます。 もし良かったら覗いてみてください。 勝手にアーティスト紹介コーナー
by bookumakk
| 2017-11-27 01:24
| 創作
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